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cloverfield

cloverfield見てきました。
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かなり面白かった。散々アトラクションムービーと言われていたので、ストーリーらしいストーリーもないのかと思ってたら意外なほどシナリオと構成が映画的にしっかりしていた。もっともこれくらいストーリーがしっかりしていないと1時間半もたないだろうけど。「重ね撮り」っていう仕掛けも上手いなぁ。でもSDカードにデジタル録画ではああはならないんだけど(^_^;)
従来の怪獣映画に対する不満に、物語が政府、特殊機関といった一般人とはかけはなれた人の視点でしか語られて来なかったことがある。その昔、STARLOGで新作ゴジラのストーリーを募集していたとき、ごく一般の人の視点で、極端な話、ゴジラそのものは出てこない形で映画が作れるんじゃないか、舞台劇が作れるんじゃないか、と考えたことがある。当時の特撮の技術ならば、いっそ怪獣を出さない方がリアルな怪獣映画が作れるんじゃないか、と思ったわけで、同様にこの映画の制作者も、怪獣という荒唐無稽な存在をリアルに描くにはこのような手法がよいと考えたようだ。ぼくが考えていたのは災害ストーリーではなかったが、同じ発想で作られた映画が見れたのは面白かった。
非常にぶっきらぼうに見える映像だが、実際には綿密に考え抜かれた映像であり、たとえば通常の映画なら構図やライティングで意味を持たせ、複数のカットをつなぎ、BGMで心情に訴えかけるところを、状況の組み立てとシナリオだけで構成しなくてはならないのだから、作る側はさぞかし楽しかったに違いない。
そのように注意深く作られているのだが、昨今の説明過多なエンタティメント映画や漫画に慣れていると、登場人物に感情移入しにくい分だけ、不親切に見えるかも。

災害映画として見ると、また別の見方ができる。
ポセイドン・アドベンチャーやタワーリング・インフェルノのような伝統的な災害映画は、「グランドホテル」形式を取ってきた。その場に居合わせた様々な立場の人の人間模様を織り交ぜてドラマを作る形式で、最近だと「有頂天ホテル」が見事にグランドホテルしてた。
それが、タイタニックになると、グランドホテル形式ではなく、二人の主人公にフォーカスしたプライベートで感情移入しやすいドラマとなり、クローバーフィールドではついに一人称視点へと転じた。
「トランスフォーマ」を見たときの大きな不満が、グランドホテルなのか、一人称なのか、はっきりしないシナリオだったこと。主人公以外の人たちのドラマが全然見えてこない。主人公の行動に都合のいい行動しかしない。
それに比べると、3組の男女関係にフォーカスしたクローバーフィールドのシナリオは上手い。本来なら一組にフォーカスしたいところだが、そうすると全体のドキュメンタリータッチが台無しになってしまう可能性が高い。エイリアンのような、それぞれの立場ではなく、恋愛にフォーカスしているのも今風。

まぁ、そんなこんなで、色々なことをキッチリ考えて、ギリギリの線でうまく作ったなぁと思う

ただ、日本のまんが雑誌でやってる、裏設定モノは台無しだなぁ。語っちゃだめでしょ、語っちゃ。
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